東京 海洋散骨堂 極み

葬送の歩みと自然葬の未来を考える(2)

2018.11.27

葬送の歩みと自然葬の未来を考える(2)

前回、日本における葬送の変遷を追うと共に、明治初期に起きた墓地の不足による遺体の不法投棄や衛生上の問題の解決策として、世界でも他に類のない火葬率99%に至る歴史的経緯を紹介致しました。

土葬から火葬へとシフトすることで故人を弔う葬送も画一的になりました。
逝去から葬儀を終えるまでの流れは亡くなられた場所にもよりますが、病院で亡くなられた場合、遺体は臨終後の処置を終え一時的に病院の霊安室に安置された後、手配をした葬儀社の手で遺体を安置場所であるご自宅か斎場に運び、整えられた寝具の上で納棺の準備が進められます。

納棺後、通夜・葬儀・告別式を経て火葬されます。
火葬された遺骨は、自宅などで一時的に安置された後、法要を行い埋葬という流れが一般的でした。

しかし、日本ではいまだ経験したことのない人口の超高齢化による多死社会が目前に迫っている中で様々な問題が表面化しています。

その一つとして、前項では都市部の深刻な火葬場不足をとりあげましたが、遺された家族も単身高齢者という場合も多く、身近に頼る親族もいないので自宅で納棺まで遺体を安置することが難しいという新たな問題が発生しています。

最近では自宅でお亡くなりになる方は少数であり、病院や介護施設でお亡くなりになる方が全体の8割以上に上るというデータがあります。
地域社会の変化による近隣との関係の希薄化も少なからず影響しているようで、都市部などの特にマンション等の集合住宅に住む方は、近所付き合いも少ないので隣近所に配慮し、家族のご遺体を自宅に連れ帰ることが出来ないという現実があります。

日本はこれから多死社会を迎えますが、核家族化が進み、祖父や祖母などと同居した経験もない方も多く、昔に比べ身内の死や遺体をみる機会が少なくなっています。
遺体に対して忌避感や嫌悪感も少なからずあるようで、自宅に遺体を安置することを拒否する方も多くなっているそうです。

遺された家族の高齢化や住宅事情もあり、火葬するまでの間ご遺体を預けておける「死者の為のホテル」を必要とする方が多く、都内では冷蔵設備付きの遺体安置スペースも建設され、遺体安置の依頼は増加傾向にあります。

病院では長く遺体を安置することが物理的に難しいため、夜間でも遺体を早く出してほしいと言われますし、火葬場にもご遺体を安置する施設はありますが、時間を問わずご遺体を受け入れている施設は少ないのが現状です。

都内では火葬まで一週間近く待たされることもあるので、一時的に遺体を安置する場所は不足しているという切迫した背景がそこにあります。

また、故人が身内といっても親兄弟ではなく、病院や施設に預けられ生前に同居していない距離のある親戚というケースもあるので、民間の遺体安置施設はこれからも必要とされ、増加していくことが予想されています。

終活ブームもあり自分がどのように弔われるかを考える機会が増えたことから、自分が亡くなった後に家族や子供に迷惑を掛けたくないという思いと、親族や友人も高齢なので自分の葬儀に足を運んでもらうのは忍びないとの理由から、小規模な家族葬や、通夜、葬儀なしで直接火葬場に向かう直葬を希望される方も多いといいます。

火葬場などの霊安室というとステンレス製の簡素な造りを想像しますが、民間の遺体安置施設の中には、遺体を安置する冷蔵設備の他に、リビング調の少し広めのスペースのある部屋も用意されていているところもあります。
近隣の人に気を使うことなくご遺体との面会も可能なので、自宅から送り出すことは出来ないが、自宅のようなところで家族だけで送りたいという方に注目されています。

更に故人様と一泊二日を過ごすリビング家族葬を行える遺体のためのホテルもあります。

バスルームやキッチンなどもあり、故人と一緒の部屋で家族も寝泊まりすることが可能です。
時間を気にせず、故人とゆかりのある友人を招き入れることもできますし、ゆっくりと最後のお別れをしたいと望む家族の心に寄り添ったサービスを提供する遺体のホテルもあるので、ご参考までに。

家族関係の変化もあり悼み方も多様化してきたようで、火葬の現場では度々ご家族様からこんなリクエストがあるそうです。

通常火葬場では棺保管するとそのまま火葬になりますが、棺を開けて最後に顔を合わせてお別れをしたいと希望される方が多くなっているようです。
そうした送り出す家族の気持ちを受け止める形で、最後のお別れの時間を一時取っていただける火葬場もあるようです。
送り出す立場になった場合、混雑時は難しいかもしれませんが、希望をすれば棺を開けてお別れの時間をとれる可能性があるので、火葬場を選ぶ際は後悔のないよう事前に最後のお別れが出来るかを確認することをお勧めいたします。

葬儀とは誰のためのものなのか?

近年、故人の遺志を大切にした弔い方は多様化を遂げています。
逝去から葬儀を待つ間の遺体の安置場所に始まり、葬儀の規模や様式、そして埋葬方法と多岐にわたります。
故人やご家族の心に寄り添った弔いをすることが、形式や慣習より重要と考える人が多くなってきた証左なのかもしれません。
次の項では、火葬を終えた遺骨にまつわる現状や法律も踏まえ、新しい弔い方を紹介していきます。

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