先日、子供を介してスウェーデン出身の方と席を共にする機会があり、お互いの生活などの話をしていて「クリスマスにスウェーデンに帰ったりするの?サンタはフィンランドとスウェーデンとかに居るんでしたっけ?一回その時期に北欧に行きたいな」と軽口を叩くと「もう帰らないかも。両親は亡くなって誰も居ない」と。
「そうですか…お墓参りとかは?」「ミンネスルンドだから大丈夫なんです」という答えが。
「ミンネスルンド?」
最近、日本でも少子高齢化からお墓の継承者が居ない等のニュースが取り上げられていますが、北欧は日本よりも前に高齢化が問題になっただけあり、いま日本が直面している墓地問題は1955年頃より議論され、その解決策の一つとして1957年の埋葬法改正により匿名性の墓地がみとめられたそうです。
「追想」という意味の「ミンネス」に「木立、雑木林」という意味の「ルンド」を合わせて「ミンネスルンド」と呼ばれる匿名性の散骨墓地が従来の墓地の敷地の一角に作られたそうです。
ミンネスルンドは日本の合祀墓とは異なり、個人が特定されるものを置くことが禁じられていて、家族が散骨に立ち会えないところもあるようです。
献花台が設置されていて、家族、友人はそこに花を手向けお祈りをするそうです。
日本とは異なりスウェーデンでは自分の死後を想像し選ぶことが当たり前のようです。
日本では火葬率が99%を超えていますが、西洋社会では死ぬ前に火葬か土葬のどちらを希望するか決めておかなければならないようです。
アメリカでは24%、ドイツでは39%、フィンランドでは25%と火葬率は低く、スウェーデンでは1990年60%だった火葬率が2000年には70%を超え、その半数以上がミンネスルンドを選択しているようです。
スウェーデン全体でも散骨する人が40%と結構高く、都市部では火葬率が90%を超えているので、更にミンネスルンドは一般的なようです。
暮らした地域に自然な有り様で還っていくミンネスルンドというお墓のかたちと、自然へ還る海洋散骨の共通点もあり、普遍的な家族の心情に触れたことで、真摯に海洋散骨を続けていく励みにもなりました。